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L'histoire

僕が好きだった人たちについて書きます。僕の勝手な片思いなのだけど。

無知の知

 

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ソクラテス

 ペロポネソス戦争ソクラテスの人生は、一部重なっている。ソクラテス自身、重装歩兵として、この戦争に参加していたのだ。ヘルメットをかぶり槍を持つソクラテスの姿は、イメージとしてしっくりこないけど、アテナイ市民としてじっとしておれなかったのだろう。

 

 しかしそのアテナイに、ソクラテスは殺されることとなる。世間で名を馳せるソフィストたちを対話で次々とやっつけるものだから、とうとう有力者に睨まれる。有力者に睨まれると、なかなか勝ち目はないな。僕は自分自身の拙い経験のなかでこれを実感する。

 

 直接的な罪状は、「アテナイの国が信奉する神々を信じず、青年たちを堕落させた」というもの。言いがかりも甚だしいのだが、無理が通れば道理引っ込むというやり口も、有力者がよく使う手だ。結果、死刑判決が下るのだけど、逃げようと思えば、それも十分可能だったらしい。弟子たちは、毎日牢獄にソクラテスを訪ねていて、牢獄の監視はけっこういい加減だったようだ。

 

 しかし逃亡はソクラテスの信条に反するというので、実現しなかった。自ら毒杯を仰ぐ方を選択する。こういうことが本当に出来てしまうものか?ハメられた裁判じゃないか。従う価値などないし、まして命を差し出すレベルのことではない。「悪法も法」ではあるだろうけど、一度くらい信条を曲げてもいいだろうと、僕なら考えてしまう。しかしまぁ、こういうところが僕という人間の卑しさなのだろうと、一方では思う。「一度くらい」と考える人間に、一度だけで済むことなど決して無いものだ。

 

 だいぶ前に、資格試験を目指して必死に勉強していた時期があるのだけど、頑張れば頑張るほど、自分の理解力の低さが自覚され、そういう自分と毎日向き合うことに嫌気がさしたことがあった。そんな時、ソクラテスの「無知の知」という言葉が浮かび、自分はいまソクラテスの境地にいる・・・と思ったものだった。

 

 今から思えば、ただの自己憐憫で、資格試験にもまんまと落ちた。

                  

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