出エジプト
<アメンヘテプ4世⇒イクナートン>
古代エジプト18王朝の王様で、神官たちとの政治的軋轢なんかで、それまでのアメン・ラーの多神教からアトン神への一神教に信仰を変更した。信仰を変えたので、アメンヘテプの名も捨てて、イクナートン(「アトンに愛される者」という意味)に改めた。遷都もした。かなり急激な宗教改革だったと言えるだろう。
もしかしたらこの頃、紀元前13世紀ごろと言われるモーセの「出エジプト」と時代が重なるかもしれない。モーセは長らく奴隷同然の身分で囚われていたヘブライ人を率いてエジプトを脱出するのだけど、ヘブライ人の信仰も一神教だったことを考えると、エジプトがアトン神の一神教に変更したのには、ユダヤ教の影響もあったのではないだろうか?いや、十戒を授かるのは、エジプトを脱出した後だから、ユダヤ教はまだ成立していない。
調べてみると、すでにかの精神分析の始祖フロイトが、このアメンヘテプ4世の宗教改革に注目し、ユダヤ教の唯一神ヤーヴェの原型は、エジプトのアトン神にあるという仮説を提唱しているそう。エジプトの方が、ユダヤに影響をもたらしたという考えなのだ。となると、ユダヤ教ばかりでなく、その後のキリスト教・イスラム教にまで、アメンヘテプ改めイクナートンの一神教は影響したことにもなる。イクナートン畏るべしである。もしかしたらイクナートンこそは、モーセその人ではなかったか?・・・いや、これは考えすぎだな。
古代エジプトの一神教の時代は、イクナートン一代で終わってしまい、子の代になると再びアメン・ラーの多神教に戻った。子の名は、トゥトアンクアメンで、名前の後ろにアメンが見える。
それにしてもトゥトアンクアメンは、読みづらい名前だな~と思いながらも、何度か口にしてみると、ちょっとした<アハ体験>に感動するかもしれない。日本流にはツタンカーメンと呼ばれる若き王様なんである。